新撰菟玖波集
―室町後期に編集された准勅撰連歌集―
準勅撰連歌撰集。二十巻。宗祇ら撰。明応四年(1495)成立。
『菟玖波集』を継承し、永享元年(1429)以後六十年間の作品から約2000句を撰集。心敬・宗砌・宗祇・兼載らの作品が中心。
勅撰和歌集の部立を踏襲しているのは『菟玖波集』と同様だが、俳諧の部が除かれている。新菟玖波集。
- 日かげほのめく雨のあさかぜ
山はけふ雲ゐにかすむ雪きえて(巻一・春上・宗砌法師)
- 旅だちし故郷人をまつくれに
山路は雲のかへるをぞみる(巻十一・旅上・宗砌法師)
- むかへば月ぞこゝろをもしる
西をのみねがふいほりの夜半のあき(巻十八・釋教・宗砌法師)
- かすみこめたる木々のむらだち
みぬはなのにほひにむかふ山こえて(巻一・春上・智蘊法師)
- 庭にいりたつ木がらしの風
さむき日は野べの小鳥も人なれて(巻六・冬・智蘊法師)
- 一聲をたのむ思ひのたまさかに
残るほたるやかりをまつらむ(巻四・秋上・法印行助)
- わが心こそうはのそらなれ
それとなくみしをおもひの始にて(巻八・戀上・法印行助)
- 夏くればふかき清水を又汲みて
岩ふみならしこもるやまでら(巻十八・釋教・能阿法師)
- 又よといひし暮ぞはかなき
ちるうちに人のさきだつ花をみて(巻七・哀傷・権大僧都心敬)
- 身ををしまぬもたゞ人のため
国やすくなるはいくさのちからにて(巻七・賀・法眼専順)
- 老のあはれを月もとへかし
風つらきひばらの山の秋の庵(巻十三・雑一・宗伊法師)
- 雲なき月のあかつきの空
さ夜枕しぐれも風も夢さめて(巻六・冬・宗祇法師)
- なみだの水に身をやしづめむ
さのみかくなげくもいかゞ苔のした(巻七・哀傷・法橋兼載)
- むつまじきまでなれる袖の香
いづくともしらぬにひきしあやめ草(巻三・夏・肖柏法師)
- 夏の夜はたゞ時のまのほどなれや
なけば雲ひくやまほとゝぎす(巻三・夏・宗長法師)